【最速!?】2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」を語る!【徹底解説!】

今回は来年の大河ドラマ「べらぼう」の主人公
「蔦屋重三郎」について
どんな人でどんな人生だったのかを解説します!
文責:しょぼ黒鈴木

蔦屋重三郎

○蔦重(つたじゅう)ってどんな人?
蔦屋重三郎の生誕は寛延3年(1750)
10代将軍徳川家治や老中田沼意次の時代に活躍しました。
重三郎の生まれ育った吉原は
当時一大文化サロンとしても栄華を極めており、
ここで当時のビジュアル観光本『吉原細見』の発行で人気を掴みました。
47才で亡くなる長命とは言えない人生ながら
錦絵の二大巨頭「喜多川歌麿」や「東洲斎写楽」を育てるなど
“知られざる奇跡の名プロデューサー”として近年脚光を浴びています。

○蔦重の時代はどんな時代?
重三郎が活躍した時代は江戸時代中期〜後期、
年号でいうと「安永、天明、寛政年間」に当たります。
主な政権担当者が田沼意次-松平定信-徳川家斉と移り変わっていくのですが、
“ワイロ政治”でおなじみの田沼、清貧思想の松平、
文化文政時代の絢爛放漫で有名な家斉…と、
政治の中心が交代するごとに方針が真逆に変化します。
その変化は

喜多川歌麿の美人画


・老中田沼意次の奨励により江戸文化が花開く
・直後の松平定信期には「寛政の改革」により綱紀粛正が図られる
・その後の徳川家斉の大御所時代に再び文化の爛熟する
「化政文化時代」がやってくる…といった具合に。
黄表紙本や大首絵など新しい文化が次々に生まれ、
幕府はその統制に苦慮していく時代で、
この流れと外国船の到来が後の幕末へと繋がっていく
「さきがけの時代時」ともいえる時期でしょう。
蔦屋重三郎・山東京伝のコンビが仕懸文庫を出した
寛政3年(1791年)には
林小平が「開国兵団」を出版しています。

蔦重はそんな目まぐるしい時代を上手に立ち回り、
本人は化成時代の前に亡くなるのですが、
養子を迎えた二代目蔦屋はその後も引き続き栄えていきます。

【黄表紙本】
黄表紙本は、重三郎の時代に流行した
風刺やユーモアを含む絵入りの小説や戯作のことを指します。
恋川春町『金々先生栄花夢』などが有名で
時の政権を昔話のパロディで紹介するなど
ブラックユーモアを含んだ作品も数多くありました。
それまでの草双紙は子供向けのものしかありませんでしたが

黄表紙本!


黄表紙本は当時の知識人である武士が名前を変え執筆し
当時の流行である数多くの浮世絵師が挿絵を手掛けるなど
時代を誇る一大文芸となりました。
蔦屋重三郎は、ライバルの鱗形屋が出版した黄表紙や戯作本に
大いに刺激を受け、自身も黄表紙本を多く出版しました。
恋川春町『金々先生栄花夢』(1775年)
山東京伝『江戸生艶気樺焼』(1785年)
朋誠堂喜三二『文武二道万石通』(1788年)
恋川春町『鸚鵡返文武二道』(1789年)

などが黄表紙本の代表作にあたる。
その他にも数多くの作品があり、
現代の我々にも通じるユーモア感覚があるため
読書するのも一興であるかと思います。
ちくま学芸文庫の『江戸の戯作文庫』などは

黄表紙本の中身


入手しやすい黄表紙の一例だ。

○蔦重はどのように出世した?

もともと吉原に生まれ育った重三郎は
生まれ故郷でもあるこの土地で「耕書堂」という
小さな本屋を開きました。


当時の貸本屋は「鶴鱗堂」が最王手で
吉原の解説本(吉原細見)も独占状態だったのですが、
鶴鱗堂が今でいう著作権法違反を起こし
吉原本の一時出版停止状態になる事件があり、
この隙に蔦重は彼独自の吉原細見『一目千本』を出版。
鶴鱗堂と入れ替わるようにして世に登場してきました。
この本はそれまでにはなかったビジュアル要素を取り入れ、
判型を大きく見やすく。そして誌面から余計な装飾を削り
ページ数をスリム化して一冊を廉価に販売できる工夫を
凝らすなどして大変な評判を呼んだそうです。

写楽の「大首絵」

その後も重三は時代の流行をうまく読み、
富本節ブームが起これば富本節に関した本を出版するなど
世間の流行にうまく対応し、
松平定信による綱紀粛正(寛政の改革)のときには
財産の半分を没収されるなどの憂き目に逢いますが、
それに負けることなく経営を続け安定化させるなど、
先見の明と不屈の精神を併せ持つ
稀代のヒットメーカーでした。
「江戸煩い」と呼ばれる脚気を発症し
寛政9年(1797)年に47歳の若さで亡くなることになりますが、
この世を去る3年前にも東洲斎写楽の大首絵を出版するなど、
精力的な活動は晩年まで変わりませんでした。

現代人の我々にとっても学びの深い「蔦屋の重三」。
混迷する令和日本のこの時代に大河ドラマの主役に選ばれるのも
納得の人選といったところでしょう。

私たち歴史調査チームは引き続き大河ドラマ
「べらぼう」を応援しながら江戸文化を深掘りしていきます!

しょぼ黒鈴木は
ヒストリンク・歴史を楽しむ会関係団体の
「徳川家を楽しむ会」の代表もやっております。
盆踊り活動含め、2025年も引き続きよろしくお願いしま~す。