叶えられなかった夢はあるか?理想と言ってもいい。理想は時間と金が引き換えになるのが、現実の常である。与えられることもあるが、好きな時に与えられるものではない。
「龍華園」は理想が皿に乗っていると言ってもいい。
理想を喰らえ
とにかく全部の定食の量が多い。大盛にしても1,000円を超えない。安くていい店ではあるが、このくらいは珍しくない。すごいのが唐揚げだ。実はこの辺りの地域は和食の居酒屋でも洋風定食屋でも唐揚げを頼むとやたらとデカいのが来る。各店のこだわりのから揚げを口いっぱいに食べることができるのだ。ここは中華料理屋。果たしてどんなものが来るのか。
大きさはちなみに普通だ。しかし……


この量である。もちろんちゃんと熱いので半分食べるくらいまでは熱さに耐えることになる。口の中は衣で傷つき、熱さで焼ける。しかし、その向こう側のおいしさを求めてひたすらに食べていく。本当に唐揚げしかない。ささやかにキャベツがあるくらい。マヨネーズもついてくるが6個くらいでなくなる。その倍以上の量のから揚げがあるのに。マヨネーズの比が明らかに唐揚げに対して残念だ。
夢、ありますか?
それでもこの量の唐揚げが食えるのは夢だ。熱さもマヨの少なさも気にせず、夢を喰らう。自分は辛いのが好きなので、ラー油もかける。飽きたら、酢もかける。これが子どもの頃に見たかった光景だった。こんな身近にあってすぐに叶えられるなんて、子どもの頃からあったはずなのだが。
自分の叶えたかった夢は唐揚げなのだ。将来は唐揚げになる。