思い出のフォントマニア

この記事は、2022春 マニアフェスタ 寄稿記事です。
一部誌面を再現できていない箇所ありますが、文章は原文のまま載せています。

はじめに

フォントの世界は宇宙の如く広く、そして美しい…。
⼈類の叡 智が無限に続いてる世界。それがフォントだ。⽂字を打ち、サイ ズを設定し、何気に⾒たフォントの設定項⽬。初めて⾒た時は⽂字の形だけでもこんなにあるのかと感動した。
いつも⾒ていたアイツには「明朝」と名がついていて、チラシとかで⾒るアイツには「ゴシック」と名がついていたのか。名前を知ってさらに感動 が深まった。
それからWordで⼿当たり次第、さまざまなフォントを試した。フォント選びに納得できず、ネットの海を彷徨ったこともあった。
商⽤利⽤で使⽤できずに泣いた⽇もたくさんあった。そんなフォントを思い出とともに本稿では厳選し、紹介す る。ちなみにこの本⽂のフォントは「游教科書体」教科書の基準 を満たす⽂字で挨拶をした。
この「はじめに」の⾒出しは「凸版 久見出しゴシック」。そのまま⾒出しに使った。ひねくれてる ので普段はそんなことしないのだが、今回は…(以下略 

フォント紹介

メイリオ

明朝でもゴシックでもなくPOPでもないフォントを初めて知ったのが このメイリオだ。
ただのゴシックより少しスマートでスタイリッシュな のが特徴だ。ゴシック体系のフォントであるようだが、どこか新しい。
それもそのはず。Windows vistaから 採⽤された後発レギュラーフォントメイリオレギュラーよりなのだ。すでにvistaが古いっていうんじゃありません。え、そもそも 知らない…?
今までMS明朝とMSゴシックくらいだったフォントの世界に現れた超新星だったのだ。なお、デザイナーの⼥⼦に「これ使ってればおしゃれって⼈いるよねw」と⼀笑に付されたことがあった。

Typographic info for the Meiryo font family
learn.microsoft.com

丸ゴシック 

丸ゴシック
丸ゴシック

ゴシックでも丸ゴシックと⾔われる 通常のゴシックの⾓を丸めたものだ。 ゴシックが古臭く⾒えるため、なんだ かこっちが新しく⾒えるが、どうやら 第⼆次世界⼤戦以前から歴史があるようだ。
まぁ、先を丸めるくらい誰でも思いつくか。 

そのため多くの種類の丸ゴシックがこの世には存在している。歴史 はありながらも本⽂を柔らかく表現したい時につい⼿を伸ばしてしま う愛らしいフォントだ。
逆に正式な⽂章で使うと、ビジネスシーンで ギャル語を使うくらい違和感がある。古いのに新しさがあり、⾝近でありながらもなかなか珍しい表現をしたフォントではなかろうか。 

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sankoufont.com

HG明朝B

HG明朝B
HG明朝B

RICHOより提供されたフォントがこのHGシリーズである。まるでガンプラのようだが、実際にこのフォン
トはなかなか値段が張る。MS office標準搭載のようだが、officeの価格に影響を与えているのではないかという意⾒もある。

明朝体であるが、MSのと⽐べるとどことなくゆとりのあるデザイン をしている。バランスが取れていて、古めかしい感じもなく、⼩洒落た雰囲気もある。これを使うと少し他者と差のついた書類が出せるような気がして、⾃⼰満⾜度が⾮常に⾼いフォントだ。これで完成されているため輪郭や影を編集するのが難しいのは、短所か。 

【リコー公式サイト】PCでおなじみのフォントです。MS ゴシック、MS 明朝を作った実績があります。様々な書体、様々な言語のTrueType Fontを取り揃え…
industry.ricoh.com

HGP創英角ゴシックUB

HGP創英角ゴシックUB
HGP創英角ゴシックUB

上記同様、HGシリーズのゴシックバージョンだ。こちらは⼤きく幅をとり、ゴシックの中でもさらにどっしりしたフォントである。

⾔うならば、フォント界の⼆郎だ。とにかく太い。が、ちゃんと洗練されたバランス感覚があり、⾒やすさを保ちながら今時のデザインを保持できる。使い⼿のセンスを問うフォントであり、決めどころで使えば、締まった書類が完成するだろう。逆に何かを訴えたい時、こ れだけで構成すると圧の強い⽂書が完成する。⾚⽂字にして、「〇〇 反対!」などと抗議⽂を作ってみよう。すると、これを⾒た途端に強い意思を感じ、怯むこと間違いなしだ。そして、今後の付き合いを改めることもセットで間違いなしだ。 

【リコー公式サイト】PCでおなじみのフォントです。MS ゴシック、MS 明朝を作った実績があります。様々な書体、様々な言語のTrueType Fontを取り揃え…
industry.ricoh.com

吐き溜

吐き溜
吐き溜

こちらフリーフォント界の異端児、吐き溜は⽼舗ホラー素材サイト「暗⿊⼯房」様による提供だ。
これを使う場⾯、ホラー以外にあるのか?という問いと向き合いながらフォント選択の時はいつも眺めている。

もちろんニッチな要望に応えるためのフォントであるからホラーだけに使えれば良いのだが、どうしてもホラー意外にねじ込めれば、インパクトを与えられていいのではないかと考えてしまう。しかし、個性が強すぎるためちょっと使っただけで全体の構成に影響を与えてしまい、⼿が出せずに悔しい思い
をしている。他は「怨霊」もおすすめだ。

www.ankokukoubou.com

たぬき油性マジック

たぬき油性マジック
たぬき油性マジック

⽂字打ちのメインがMacになった時、先程の吐き溜同様にインストールしたフォントだ。⽐べてしまうとほのぼのしたフォントだが、意外と使い勝⼿が良く、気を抜くと多⽤してしまう。

なんとなくこのようなデザインのフォントが出せるほど技術が発達した吐き溜よりたぬき油性マジックよりのかと感慨深くなってしまう。フォントの進化を追っていると追ったものにしかわからない感激が味わえる。筆者は飲⾷店の管理をしていることからメニュー表などにこちらを使いがちである。

フレンドリーな説明⽂にすることで⼀気に親しみやすさを持たせることができる。謝罪⽂に使うと逆効果なので、うっかり使わないようにしよう。

『たぬき油性マジック』は、普通紙に極太油性マジックで書いた手書き文字から作成した無料日本語フォントです。漢字も多数収録しています。
tanukifont.com

チェックポイント★リベンジ 

チェックポイント★リベンジ 
チェックポイント★リベンジ 

それはゴシックというにはあまりに も⼤きすぎた。⼤きく、分厚く、重く、そして⼤雑把すぎた。それはまさに鉄塊だった。いや、鉄塊じゃなくて ただのフォントなんだが、デカすぎやねん。これに出会った時は訳が分からなかった。調べてみると、 

⽇本テレビ系列の『全国⾼等学校クイズ選⼿権』で使われた⽂字を 再現したものらしい。余程、印象に残ったのだろう。フリーならでは のデタラメさがある。実際、輪郭や影を付けたりすると使⽤場⾯が豊 富でびっくりする⽂書デザインが引っ張られるほどのイメージを持つ フォントのため、多⽤は禁物だ。うるさい⽂書しか作れなくなるぞ。

Phosphate 

アルファベットのみの使⽤フォントだが、その中でも特にこちらは印象的だった。とにかく抜きん出てオシャレだ。よっぽど紹介するものがカッコよくて使⽤者のセンスが⾼くなければなかなか使⽤できない。

筆者も何度か使⽤を試みた場⾯があったが、躊躇して、別のフォントに逃げてしまった記憶がある。どうしてもこのフォントの周りのデザインもしっかりしてないと、このフォントだけ浮い てしまうのだ。これを使いこなせたらハイレベルなクリエティブセン スを証明できると信じて、⽇夜、使う場⾯を模索している。ただ読みやすさを考えるとどうしても使⽤を控えてしまい、⾮常に悔しい。 

黒薔薇シンデレラ

紹介されてインストールした。圧倒的な⾼⾶⾞感はなかなか他のフォントにはない。もちろんタカビーな⼈向けに使うとしっくりくるのだが、とても嫌味にもなるので、実際にはそういう使い⽅をしたりせず、 庶⺠的な紹介に対して、あえて使⽤して、バラエティ⾊を出したりする。
これを本気で⾼級な場⾯で使うのなかなか難しく、あまり真剣な場⾯では使えない。それとも筆者の普段の思考が貧困だからだろうか?
ところで、気付いた読者もいるだろ けど、タイトルに使⽤されてるのがこれ。何気に気に⼊ってるのだ。 

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございます。今回は印象に残っていて、なおかつ利⽤の多かったものを挙げたので、フォントに詳しい⽅からすると、⽬新しいものは特になかったかもしれません。その上、思い出を語るつもりが、フォントに対して積年の思いくらいしかなく、ちょっとタイトル詐欺になってしまいました。すんません。
あとこれを 機会に使いにくいフォントを使ってやろうとしたところもありました。 この項⽬の⾒出しに使われているのは「ピグモ」という謎フォントです。タイトルにもなんとかして使いましたが、これは使いづらいを通り 越して、読めない!解読可能な⽂字が少なすぎる。なのに、第⼀⽔準漢字には⼤体対応してるっぽくて、使⽤を考慮されている。使ってほしいのか本当にわかりません。でも、デザイン特化すぎて使いたくなる。この記事はピグモのためにあったのかもしれません。皆様もフォントの海 に旅出て、⽂字と⼀緒に思い出を作ってみませんか? 

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moji-waku.com
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ゴールデンサムネ
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フゥム

フゥム

ちっせぇ店の店長(雇われ)

1986年生まれ♂ 酒さえ置いとけばバーって名乗っていいだろうという程度の信念で店をやっている。巻き込まれる形で人間の渦に飲まれてしまったので、そこから見える世界を書いてライターとして生きていこうとしている。だけど、渦の流れが強すぎて書けない。助けて。

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