~「江古田のまちの芸術祭」&日暮里「芸工展」二つの芸術祭を比較して~
はじめに
みなさんこんにちは!
現代のアート人、奇行だけなら岡本太郎にも負けないしょぼ黒鈴木です:)
今回は僕の活動する地域の「寺子屋~アート活動」を紹介させてください。
去年くらいから10月の期間中、二つの地域のアート展にて積極的に活動をしています。
日暮里地域の「芸工展(げいこうてん)」と練馬地域の「江古田まちの芸術祭」がその二つ。
本記事はそれらのアート展の概要と、これから何が生まれるのか・・・!?の考察です✨
日暮里の芸工展とは
日暮里の町(谷根千+α)で開かれる町のアート展です。元々は地域に住む職人さんたちを応
援するニュアンスから出発した当イベントは今年25周年を迎えます。10月の一か月の間、参
加者は展示場所にオレンジ色の手ぬぐいをぶら下げ、それが企画参加の目印となります。
「まちじゅうが展覧会場」をキーワードに、地域に暮らす人々の創作活動をとりあげ、
街中にアートが溶け込んだ1ヶ月間となる催しです。筆者は’20年から参加させてもらってお
り、「ハロウィン盆踊り」や「芸工展中間報告会」などを企画。今年はツイッター担当とし
て運営広報やパンフレットの文字校正や看板設置などを行いました。芸工展は地域のアート
イベントの老舗&街歩きで有名な”谷根千ブランド”など、強い存在感を放っています。
江古田のまちの芸術祭とは
こちらは2011年-2018年に日本大芸術学部OBらが中心となり開かれた「江古田ユニバー
ス」というイベントが発端となったもので「江古田をアートの町にしたい!町が活気づいてほ
しい!」といった意志を持つ人達が集まり、町の人と協力しながら様々に(:演劇、映像の
上演、音楽の演奏、美術作品の展示などなど)アート活動を行っているものです。江古田ユ
ニバースはメンバー多忙のため中断になっていたものの、2020年から町のお店の方々の後援
が後押しとなり「江古田のまちの芸術祭」と名前を変えて復活しました。
2024年は10/28(土)ー11/5(日)まで開催され、自分は地域のイベントバー「moja」の仲間
として一緒に活動しながら「江古田ECOコスプロジェクト」(コスプレごみひろい)や「江
古田ネオ盆踊り」(アニソン盆踊り)などの企画中心スタッフとして行動しました。
江古田地域には江古田三大学(武蔵大学、日大芸術学部、武蔵野音大)などがあり、街と
アートが溶け込んだ密度の濃い一週間となります
日暮里と江古田、両企画に参加しているのは僕だけだと思いますが、両方のスタッフ・中心
メンバーとしての動きから見えてきたことがあります。ここからはそれぞれの特徴比較や今
後起こりうる展開、水面下の動きなどを考察してみます。どちらもポテンシャルがありま
す!
「江古田のまちの芸術祭」はこちらのWEB記事もご参照ください!
【東京新聞】江古田の街をアートで一色に駅周辺で「芸術祭」過去最多105の催し、11月5日まで
似ているところ
「出展者の意見をどう取りまとめるか」や「告知際の苦労話」など。
”店舗の方が地域に開かれてのアート参加”となると様々な意見が出てきます。例えば「パン
フレットをもっと店の宣伝になるようにしてくれ」といった意見や、ネタの被ってしまった
企画への注文など。お店は通常営業しながらの企画参加だったりもするため、どうしても意
見を沢山いれたくなるという方もみられます。告知の苦労でいえば、メールやSNSでの連絡
だけだとアナログ世代の方へ告知が十分に回らず、参加者同士の場合も連絡網のようなもの
を作り手作業的に確認しなければならないことなど。また「一度告知を回しても、それを見
てくれない人が必ず存在するので、厚めに連絡を入れる必要がある」点も地域を超えての
アート展あるあるかもしれません。
違うところ
立地している場所の違いや路線・大学の存在の有無などからくる「地域性の違い」が非常に興味深く思います。
日暮里の芸工展は「谷根千+α(上野のほうまで)」と対象地域が広く、参加団体もかなり多いです。
25周年を迎えたこともあり、歴の長さとしても日暮里地域の「芸工展」のほうが続いています。
しかし開催が話題を呼び、あまりに大きくなりすぎた運営は数年前に「商業か、アートか」の方針の混乱を招い
てしまい、以降企画規模を抑え気味になったという経緯があり。現在の様子は「以前よりも落ち着いた・文化祭
的なカオスなお祭り感覚は少なくなった」という声をしばしば聞きます。
半面、江古田の芸術祭の歴はユニバース時代を入れてもまだ10年程度と短いのですが、近場に三つの大学があ
ることもあり企画に勢いがあり活気を感じることが多いです。地域も江古田駅周辺にコンパクトでまとまり、頑
張れば一日で歩いて回ることが可能です。地域で固まりやすいサイズ感で一体感が強いです。
江古田は西武鉄道とのコラボを行なっているのも特徴で、芸工展も以前はJRとのコラボを行っていたのです
が、こちらは前述の理由などもあり現在は行っていません。
今後の新しい流れ
少し活気の落ちてしまっていた日暮里芸工展ですが、こちらにも新しい息吹が芽生えつつあります。
「日暮里はコミュニティそれぞれが結びつく機会が薄いため勿体ない、それぞれが越境して交流していこう!」という話から誕生した「谷中越境会」のまち歩き企画や、その他の新しいコミュニティスペースでの交流会の存在など。文京区、台東区、荒川区の三つの地域にまたがる土地柄からの新しい連携も生まれつつあり、文京区議員の澤田さんの「議会ピクニック」など先進的な取り組みもスタートしてきています。
江古田に関しては、コスプレしてごみ拾いをする「コスプレごみ拾い」企画が定期開催され始め、アニソンをして盆踊りをする「アニソン盆踊り」などと一緒に強い一体感と巻き込み力を放ち、今後ますます強くなることと思います。
このように、それぞれ魅力や特徴の違いがありますが、地域の取り組みと店舗や個人が結びついてアート表現をしていく流れはこれからの社会に極めて大切なことだと感じております。昨今の世の中は「個人主義」が行きすぎてしまう場面があり、アパートの隣なのに誰が住んでるのかすらわからないといった状況はごく普通。あんまりに孤立が深まっていく傾向はまずいようにも思えてしまいます。
自分が住んでいる地域のお祭り事に自然参加する中で繋がり合えば、普段の防災意識や年配の方の安全の確認にもなりえます。
世代を超えて顔を合わせたり話せる機会が増えれば、文化の継承や新しい形での循環が生まれていくことにもなります。
「家」や「学校や会社」だけでない「第三の場所」として地域を意識する。
楽しいことを行いながらも社会貢献していくという意識のあり方が令和以降の社会の今後のロールモデルとして大変重要に感じます。
垣根を乗り越えて敢えて踏み込んでいく。
そんな流れがまちの取り組みの中から生まれてくることを期待しております。
次回も楽しく参加するぞー!