【映像監督 畑澤 和也さんインタビュー 】”特撮監督への道”と”特撮文化” 【時空警察シリーズ】

バンダイのブレーンとして従事した後、多くの特撮を製作。国際的に活躍する特撮監督、畑澤さんに人生から特撮文化まで貴重なお話をお聞きしました!

畑澤 和也

畑澤 和也(はたざわ かずや)1966年3⽉19⽇⽣ テレビ番組プロデューサー、映像ディレクター、 舞台演出家。 

元東映プロデューサー平山亭の弟子として1990年代から活動開始。1994〜株式会社レイアップにてバンダイのブレーンとしてさまざまな玩具企画、ゲーム企画を通して映像作品に携わる。

仮⾯天使ロゼッタをはじめとした時空警察シリー ズなど数多くの特撮作品に携わる。 フランスでのイベント、中国での活動など幅広く 活

畑澤 和也さん

フゥムによる畑澤和也さんへのインタビュー

自己紹介〜平⼭ 亨さんとの出会い-畑澤 和也さん

フゥム
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⾃⼰紹介お願いします。

畑澤さん
畑澤さん

畑澤 和也(はたざわかずや)、京都・太秦⽣まれです。 ⼦どもの時は体弱かったですが、 夢のおかげで50歳過ぎまで⽣きられました。 

フゥム
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仕事のきっかけは何ですか。 

畑澤さん
畑澤さん


1970年代、特撮ヒーロー、ロボットアニメに触れて、そこに関わりたいと思いました。 映像の専⾨などは⾏かず、バンダイさんなどメーカーさんと近づきたくて、⻄武百貨店の社員としておもちゃ売り場の担当をしてました。
⾃主製作映画を売り場のモニターに流したりしましたね。お客さんもメーカーさんも何だろう?ってなりましたね。
それがきっかけでバンダイに企画を提供してる会社を紹介してもら いました。特撮をやるならどうしたらいいかと、仮⾯ライダーやゴレンジャーを作った私の 永遠の師匠である平⼭ 亨(ひらやまとおる)さんに尋ねたこともあります。
「⽇本で特撮ヒーローやロボットアニメやろうと思ったら、それを企画してるのは誰かというとおもちゃ屋だ。スポンサーであるおもちゃ屋が提供してるからそういう番組が作れるんだ」と⾔われました。若者には悲しい現実でしたね(笑)

フゥム
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実際に平⼭ 亨監督のところに⾏ったんですか? 

畑澤さん
畑澤さん

ファンだったので家まで押しかけました(笑)。 当時、平⼭さんは「志があるなら東京に来ないとだめだ。私のところに尋ねてきなさい」と⾔ってまして。
当時は住所とか本に書いてあったので、そこに⾏ったら「ほんとに来ちゃったの!?(笑)本当に来たのお前だけだよ」と。
それから⻄部の社員をやりながら監督のカバン持ちをしてました。映画の勉強とかしてな くて。 

監督への道程-畑澤 和也さん

フゥム
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撮影技術とかは。 

畑澤さん
畑澤さん

我流ですね。だから、どうやって監督になったかと⾔われても困って。⾃分の会社がスポ ンサー、プロデューサーをしてる番組に⾃分が原作の作品を売り込んで、指名して。
助監督、製作など経験もないのに原作脚本やって。とても嫌な奴ですよね(笑) 

フゥム
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でも、最初は途⽅に暮れません? 

畑澤さん
畑澤さん

平⼭さんに聞いたら「なんでもやるんだよ!」と(笑)若いころはわからず、何でも本当にやりました。若いから周りにかわいがってもらって、⾊々教えてもらいました。
最初はプロデューサーだったのが、周囲に⾯⽩がって取り上げてもらって。そこで本当に監督デビューしました。
⾃分でプロデュースした番組の中で⾃分が監督をやるという変わった経歴に結果的になりました。デビュー作は円⾕さんの『仮⾯天使ロゼッタ』(1998 年)でした。それが⼈⽣を決定づけました。⾃分の番組を5年続けて、監督をやればいいと⾔われて始めました。なので、下積みナシでデビューしました。

フゥム
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才能を感じたんですかね。 

畑澤さん
畑澤さん

やんちゃな若いやつとして使われたんですね。98 年は平成ライダーとかヒーローものがありませんでした。 そういう⽂化を絶やさないように深夜にやることになりました。
深夜にやって⼤⼈にウケて、それがクウガに繋がってますね。
ただ、オリジナルから⼊ってしまったので、 ⾃分が作ると畑沢のものとなってしまうと、シリーズ物からお声はかからなくなってしまいましたね。
5年に及ぶ、⾃分の番組の役者さんで、後に有名になる⽅も。その中に⼩倉優⼦さんがいました。当時から彼⼥は⾃分のキャラを意識してて、頭のいい⽅でした。 

海外展開-畑澤 和也さん

畑澤さん
畑澤さん

フランスで作品作るという話もありました。アニメファンと同じくらい特撮ファンは多いですね。 ネットで私が作った作品のファンの多さを知りました。いろんな国からファンメールが来て、何語かわからないメールも(笑) 仕事で4年半、中国で特撮やアニメの原作プロデューサーをしてました。⽇本⼈は私だけで、通訳を通じてやってました。

ずっと通訳任せだったので、中国語は今でもわかりません(笑)。逆に覚えて変なこと⾔われても困るとも⾔われたのもありましたが。 

畑澤さん
畑澤さん

⽇本はおもちゃ屋(メーカー)が映画を作ってまして、世界でそういうのをやってるのは珍しかったそうです。そこで私が使われました。
中国は0からモノを作るのが難しく、⽇本はまだ原作が多くて作れてる。最初に聞かれたのが「何を真似するのか」と聞かれまして(笑)。オリジナルのものを作るんだと返すと、オリジナルに⾓⼀つ増やしてオリジナルと⾔われました(笑)。
そういう⽂化なんでしょうね。⾃分のいた会社の⼯場も偽物作ってましたね(笑)。海賊版も多いですが、それにより⽂化が伝わった側⾯もあります。ゲームは今でこそ⽇本を超えるところがありますが、⽇本から伝わったところも多いと思います。
エンタメの源流(オリジナル)を作るところは⽇本の世界における強みではないでしょうか。

フゥム
フゥム

海外向けに作り分けてるところありますか? 

畑澤さん
畑澤さん

おもちゃを売るためのプロットを求められるので、⽇本と同じようにその要求に応えてます。そういうのは得意なので。
中国は毎⽇、放映やる上、⽇程が省ごとに違うので季節とか出せないんですよね。しかも、50本分(1作分)納品するし、検閲もあるので放映できない場合も。⽇本⼈として⾃分の名前が出せず、中国⼈としての名前でやってました。
制作サイドは⽇本⼈として応援してくれてるんですけど。スケールの⼤きい仕事はさせてもらいました。劇場公開されたものもありました。

フゥム
フゥム

中国での⼈気のモチーフは? 

畑澤さん
畑澤さん

⾞や恐⻯など⽇本と変わらないですね。国の批判とかは絶対にダメですが、わからないように巧妙にやってウケることも。
撮り直しの危険性はありますが。私がいなくても、だんだん⾃前でできるようになって⽅針が変わり、会社もマーベルと組み、離れることに。
他の⽇本⼈の作り⼿も同じように⽇本に帰った時期でもありました。今はネットでいいものはどこでも観られます。そして、国や状況が変わろうとも、そういういい作品を作ろうという気持ちは変わりません。
ただ5年近く⽇本にいなかったので、⽇本では忘れられてると思うので、取り戻そうとしています。⾃分の普遍的なテーマは変わってなくて、何をしたら良くて、何をしたら悪いかをはっきりと⼦供に伝えることですね。
単純な勧善懲悪ではなく、敵味⽅、互いに⾔い分があってそこを描かなくてはならない。世界中でそういう価値観であってほしい。


そういうのを恥ずかしがらずに伝えられるような作品をつくりたいですね。幸せになりたくてそれがぶつかるのが戦いなので単純な善悪にはならないですよね。
ただ主張を通すために相⼿に何してもいいわけないので、ルールのもと、闘争本能で解決するようなイメージでいきたいと思ってます。こうやって決めてければ、世界はよくなると思うし、正しいことは勝つというのはフィクションの中でもやっていければいいなと。

今後の構想 AIや3Dプリンターについて-畑澤 和也さん

フゥム
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今後の構想について。 

畑澤さん
畑澤さん

誰でもバズれば観てもらえるし、作品を出せますし、国や規模にかかわらず、若い⼈たちを⼊れていってどんどんやっていけたらいいと思います。
⾃分も引き上げられているので、そういう環境を作れたらいいと思っています。昔やってもらったことを後輩に伝えていきたいです。そ
れが恩返しになって、⽂化を伝えることになると思っています。 いいこと⾔うでしょ(笑)こうなったらいいと思うだけでなく、なんでもやってみないとダメですね。 

フゥム
フゥム

観たことない⽅とかに向けて、作品の観てほしい所とは何か。 

畑澤さん
畑澤さん

私の作品はかわいい⼥の⼦がいて、それで観る⼈がいてもいいですが、その⼥の⼦たちが今の頼りない⼤⼈に代わって戦っていくのを楽しめたら⾯⽩いと思います、メジャーにはないものですし。
⾃分の作品をセグメントした結果、⼥性がヒーローの作品を中⼼にやっていこうと思いました。 そこに理解がある⼈たちと⼀緒にやっていきたいです。

フゥム
フゥム

おもちゃについてはどうですか。 

畑澤さん
畑澤さん

⾚バンダイは⼦供向けで、⻘バンダイが⼤⼈向けですが、⻘がバンダイ 7 割くらいの売り上げを持ってます。
タカラトミーもライバルでそっちでも仕事しました。⻘の⽅は⾼額になってきましたね。

フゥム
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3Dプリンターはどう思いますか。 

畑澤さん
畑澤さん

チャット GPT とかもそうですが、やってもらえることはやってもらえればいいと思います。 最終的には⼈間がやるし、0→1 は⼈間がやりますし。そこが⼤事ですね。いい感じで共存できれば。
私もチャットGPTに脚本書かせようかなって。それを通じて、若い⼈に⽂化を伝えられればいいと思います。ウチの師匠が死んだのが80代でしたが、仮⾯ライダーつくったのが40歳くらいでした。これがなかったら私の今はなかったですね。それでも東映辞めてから⽣活困ったらしいですね。 

フゥム
フゥム

⽂化に対するリスペクトがないですよね。 

畑澤さん
畑澤さん


他国も⼿厚い補助があるから巨⼤な産業になったんですよね。好きなことやってんだからいらないでしょって何回も⾔われましたね。それは今でも変わらず、ある流れかと。
それでも⾃分がいつ死ぬかわからない⼦どもだったのもあるせいか、やれることをやろうという気持ちも強いです。
⽣きるのに困ったらコンビニ店員もできますし。⾃分は会社員とかできず、これしかできないので。それで⽣きられるだけ⽇本はまだいいと思います。こんな⼈がいる ということもぜひお伝えいただければ。

フゥム
フゥム

⼦どもの時の情熱を失わずやりたいですね。
英訳もしていきますのでよろしくお願 いします。 個別の作品についてまたインタビュー取らせてください。 

畑澤さん
畑澤さん

こちらこそよろしくお願いします。

畑沢監督代表作 時空警察シリーズとは?

2001年に監督畑沢和也の自主制作として作られた第一作「時空警察ヴェッカー」からテレビ・映画・舞台と、20年以上絶え間なく作品が作られ続けているシリーズ作品。

主要キャストを市川由衣、小倉優子、しほの涼、仲村みう、中塚智美、百川晴香、谷坂沙織、中谷明香、純情のアフェリア、イケてるハーツなどその時代の輝いてきた女性キャストたちが務め、渡洋史をはじめとするヒーロー俳優も多数出演。当世大人気の窪田正孝もレギュラー出演していた。

「特撮ヒーロー」史の一翼を担う一方で、「グラビア→ジュニア→地下→ネット」というアイドル史としての一面もある。

畑澤和也 原作 『時空警察シリーズ』20周年記念映画
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